「為替レートが大きく円安になったことも影響していますが、予備のパーツなど装備品も買うことになるので1機当たりの機体単価は高くなる。それでも三菱重工など3社が生産できるようにしたのは、経団連の要請で安倍政権が国内メーカーに配慮したともいわれている。安倍政権になってFMSが増加し、国内メーカーの不満が鬱積(うっせき)していました」(防衛省関係者)

 政府は本予算で米国の高価な兵器を“爆買い”しているが、そのしわ寄せは国内メーカーに及ぶことになる。軍事ジャーナリストの清谷信一氏が厳しく批判する。

「補正予算で調達されるものを見れば、一目瞭然です。政府予算で落とされた国内メーカーのヘリや装甲車を購入しているのです。国内メーカーの不満をなだめるために、補正予算でバラマキが行われています。補正予算は、原油が高騰したとか、災害出動が増えて自衛隊員の手当など出費が増加したなど、当初予算では想定しなかった支出を手当てするものです」

 さらには、三菱重工の小牧南工場(愛知)とIHI瑞穂工場(東京)に、F35Aのリージョナルデポ(整備拠点)が設置される。この問題を国会で追及した共産党の本村伸子衆院議員が語る。

「米国の政府監査院が他の戦闘機と比べてF35Aのコストが高すぎると指摘しています。米軍はコスト削減のため、整備などを日本に下請けさせると考えられます。日本が調達するF35Aの42機のうち、これまで22機分で総額で6155億円を使い、その多くは米国に支払われた。その上、日本が貢ぐ関係になるのです」。(今西憲之、本誌・亀井洋志)

※1:FMS(Foreign Military Sales)。「有償軍事援助」と呼ばれ、日米の政府間での防衛装備の調達方法のこと

週刊朝日  2016年3月18日号