A:「糖尿病の初期段階では、治療の基本は生活習慣の改善です。過食や運動不足を見直し、血糖値がコントロールできれば薬は不要です。しかしできなければ、内服薬や注射薬を使うことになります。

 ただ、生活習慣の改善は大切ですが、それが患者さんの過度な負担になるのは問題です。糖尿病は長く付き合っていかなければならない病気だからです。生活習慣の改善はできる範囲でおこない、あとは薬でカバーしましょう、と私は患者さんにお話ししています。治療薬が限られていた時代とは違い、現在は患者さんに合った薬が選べるようになっています」(綿田医師)

Q:SGLT2阻害薬は死亡例の報道もありました。安全な薬でしょうか?

A:「医薬品を管理・規制する独立行政法人の指示で、製薬メーカーによる調査が2014年以降におこなわれました。対象はSGLT2阻害薬を使った65歳以上の全患者。そのうち『スーグラ錠』(商品名)では、約7千人の中間解析結果が公表されました。

 それによると、副作用の報告は既知のものばかりでしたが、その中に死亡例があったのは事実です。ただ、糖尿病の患者さんはもともとさまざまな血管障害が進行していることが多く、ハイリスクで、すでに広く使われている糖尿病薬でも死亡例はあります。医師が、SGLT2阻害薬の効果が大きく、デメリットが少ない患者さんかどうか見極めて処方する。患者さんも適切に使用すれば、大きな問題は避けられると思っています」(寺内医師)

週刊朝日 2016年3月4日号