盗品として返還されるはずが…(※イメージ)
盗品として返還されるはずが…(※イメージ)

 2012年10月に長崎・対馬で起きた文化財窃盗事件が第2ラウンドを迎える。

 この事件は、対馬の海神神社から国指定の重要文化財「銅造如来立像」が、観音寺から県指定の有形文化財「観世音菩薩坐像」が盗まれたもので、ほどなく犯人は逮捕。韓国に持ち込まれた仏像2体も売買される間一髪のところで回収され、仏像は盗品として返還されるはずだった。

 ところが、窃盗犯の実刑が確定後、「銅造如来立像」は昨年7月に海神神社に返還されたものの、「観世音菩薩坐像」のほうはいまだに韓国に留め置かれたままだ。韓国の全国紙記者が言う。

「韓国の浮石寺が観世音菩薩坐像は倭寇に略奪されたものだとして『有体動産占有移転禁止』の仮処分を申請し、これが13年2月25日に認められました。このため、仏像は移転禁止=動かせない状態となっているのです」

 しかし、この仮処分の取り消しを求めることができる期日が目前に迫っている。韓国の弁護士が解説する。

「韓国の民事執行法では、(仮処分)執行後3年の間、本案訴訟が提起されない場合は、債務者および利害関係者が仮処分の取り消しを求めることができる(第288条第1項3号)としています。ここで取り消し申請ができる債務者とは韓国政府を指し、利害関係者は観音寺となります」

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