9日には共和党トランプ氏と民主党サンダース上院議員がニューハンプシャー州予備選で圧勝。米経済誌は「市場がリスクとして認識していない最大のリスクは大統領選」と紹介するほどだ。「もし12州と米領サモアで予備選がある3月1日のスーパーチューズデーでトランプ氏やサンダース氏が勝ったり、接戦を演じたりする展開になれば、世界の株価が下がる。西沙諸島に中国がミサイル配備したことも底割れリスクになる」(元スイス銀行員の豊島逸夫氏)

 松村氏も言う。

「この下落は九回まで行けば、1万円を下回り、8千円、7千円台もおかしくない。山場は今年と来年。問題は米大統領選です。リーマン・ショックは大統領選における政争がトリガーになったように、大衆迎合的な政争が行われてしまう可能性があります。そうなれば一気に下がる可能性もある」

 世界情勢リスクはてんこ盛り。できることをやって危機をしのげるかどうかという話ではないか。自爆している場合じゃない。中原氏はこう警告する。

「昨年末の米FRBの利上げにしろ、黒田総裁のマイナス金利にしろ、『何でもやる』と言ったから、メンツを保つためにやったもの。マイナス金利は毒薬です。金融緩和で矛盾が出ようが詭弁で押し通すリフレ派は宗教。安倍さんは即刻、今のブレーンを切らないと日本はおかしなことになる」

 濃い面々の国際演劇、いや悲劇にならぬように。

週刊朝日 2016年3月4日号より抜粋