庶民の財布は厳しいまま…(※イメージ)
庶民の財布は厳しいまま…(※イメージ)

 年明け早々、百貨店の初売りでは福袋が完売し、景気のいいニュースが聞こえてきた。だが、庶民の財布は厳しいままだ。大企業の業績は上向きだが、中小零細企業は低迷、所得の格差は広がるばかり。アベノミクスの効果はあったのか。3年前と比べて経済指標を徹底検証する。

 2016年年明け。百貨店の初売りに長蛇の列ができ、福袋や高額品が飛ぶように売れた。日本中が好景気に沸いたと思いきや、そうでもない。名古屋近郊のあるシャッター通り商店街で洋品店を営む店主(64)は、資金繰りがうまくいかず、新年を祝うどころではなかったという。

「売り上げは減少の一途。慢性赤字で借入金の返済もままならない。店の家賃も従業員の給料も払えない、と頭を抱えていました」

 こう語るのは、事業再生コンサルタントの吉田次郎氏。吉田氏のもとには、今こうした中小企業の事業主からの相談が相次いでいるという。

「従業員数5人未満の小規模事業者は特に厳しい。仕入れ原価や人件費が高騰し、利益が出ない構造になっています。中小零細企業の状態は、アベノミクス以降もリーマンショック時と変わらない」(吉田氏)

 第2次安倍政権が12年12月26日に発足してから、丸3年が過ぎた。

 昨年暮れ、都内で開催された日本経済団体連合会審議員会での挨拶で、安倍晋三首相は「アベノミクス“3本の矢”によって、日本経済は完全に復活を遂げることができた」と豪語した。

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