4人だった社外取締役は、経済同友会代表幹事で三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光氏など7人に増えた。これからは経営者、司法関係者など、専門性の高い人材を登用すると言うが、まず、クローバック条項を契約に盛り込むほうが先決だろう。

 社外取締役の人数をいくら増やしても、結局は経営陣がしっかり機能していなければ意味がない、と経済ジャーナリストの町田徹氏は指摘する。

「そもそも期越えの収益操作しか問題にしなかった第三者委員会の報告書の内容が不十分です。(東芝が買収した)米大手原子炉メーカーのウェスチングハウスは福島第一原発事故後、事実上の不良債権化していますが、報告書内では触れられていません。ここが一番のネックです。このまま幕引きをしてはいけない」

 正確な状況報告という前提が整っていない状態で、社外取締役が適切な決定や助言を行うことは難しい。

「最も必要なのは、東芝の執行体制そのものにメスを入れることです。西田氏と近いとされる室町正志氏が社長のままでいいのかも疑問です」(町田氏)

 東芝は半導体事業のリストラ策を発表し、画像センサーなど一部事業をやめて、メモリーやパワー半導体などの成長事業に注力する。大分工場(大分市)の画像センサーの生産設備などはソニーに売却。システムLSIとディスクリート事業の従業員1100人はソニーに移ることになる。今後は、赤字幅の大きい家電部門では社員のリストラが進むだろう。
 本当の改革がなされなければ、社員も株主も納得はしない。

(本誌・永野原梨香、長倉克枝)

週刊朝日  2015年11月20日号より抜粋