本の一部でむちゃくちゃなジャンル分けがされたことに、疑問の声が上がっている(※イメージ)
本の一部でむちゃくちゃなジャンル分けがされたことに、疑問の声が上がっている(※イメージ)

 TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センター(TRC)の共同事業体に運営を委託して、10月1日にリニューアルオープンした海老名市立中央図書館(神奈川県)。オープン直前に、不適正な“予定購入リスト”が発覚(本誌10月9日号)し、再選書されたが、こちらにも“海外の風俗店を紹介した本”が含まれていた。

 さらに、これらの本の一部でむちゃくちゃなジャンル分けがされたことに、疑問の声が上がっている。

 図書館の多くは「日本十進分類法」(NDC)で蔵書を分類しているが、海老名では独自のジャンル分けを採用。それはあまりに斬新すぎる分類だった。

「一部は修正されましたが、三島由紀夫の小説『金閣寺』は国内旅行コーナーに。東野圭吾の小説『手紙』は手紙の書き方コーナーにジャンル分けされ、めちゃくちゃ。本の知識が全くないのか、機械的にタイトルだけ見て分類したのか、笑えるくらいずさん。強い憤りを感じます」(60代の海老名市民)

 独自分類は武雄市でも採用されていたが、利用者が探しにくいだけでなく、職員も本を返しにくいという声もあったという。

「書店は売れてしまえばそれで終わりですが、図書館には本を戻して書架を維持する時間や手間がかかる。本との出会いより、探したい本のある利用者にとっては使いづらいというデメリットもある。どういう体制で図書館運営をしているのか、一度見直したほうが良いのではないか」(ジャーナリストで『つながる図書館』(ちくま新書)の著者の猪谷千香氏)

 一方、武雄市や海老名市の混乱ぶりが影響したのか、10月4日の小牧市(愛知県)の住民投票では、市民が“TSUTAYA図書館”にNOを突き付けた。CCCとTRCの共同事業体と連携した図書館建設について、約7千票差で反対が賛成を上回ったのだ。「小牧の図書館を考える会」の福本英雄氏は言う。

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