一方、見本市で台頭していたのは異業種だ。初出展の楽天は、店舗の棚にある商品にスマホをかざすと人気やレビューが見られる仕組みなどを展示。近畿日本ツーリストはメガネ型ウェアラブル端末の視野に歴史的建造物を再現する取り組みを紹介。「地方創生に貢献できる」と意気軒昂だ。

 異彩を放っていたのはシャープ。直前に3200人の大リストラを断行したばかりだが、今回、ロボットクリエーター高橋智隆氏と組み、人工知能搭載のロボット電話「ロボホン」を発表。音声対話や写真撮影のデモンストレーションで来場者を驚かせた。家電部門の長谷川祥典社長は「目の付けどころが、シャープ」と、目の奥をキラリと光らせた。シャープは“復活”したのか。高橋氏は言う。

「鶏と卵はあくまで鶏が先。リスクを承知で作ったモノの先に技術革新とコンテンツがある。日本勢もリスク回避を続ければジリ貧になる。液晶テレビの開発で市場を切り開いたシャープはそれを知っているからこそ、新たな開発に挑んだのではないでしょうか」

 いまや家電見本市の展示は潮目を迎えた「ものづくりニッポン」の姿だった。

週刊朝日 2015年10月23日号