鳥越俊太郎とりごえ・しゅんたろう/1940年、福岡県生まれ。毎日新聞大阪社会部、東京社会部、テヘラン特派員などを経て「サンデー毎日」編集長。89年に退社後、テレビ朝日系「ザ・スクープ」などでキャスターを務める(撮影/写真部・堀内慶太郎)
鳥越俊太郎
とりごえ・しゅんたろう/1940年、福岡県生まれ。毎日新聞大阪社会部、東京社会部、テヘラン特派員などを経て「サンデー毎日」編集長。89年に退社後、テレビ朝日系「ザ・スクープ」などでキャスターを務める(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 安保関連法案が強行採決された。デモなども起き、否定的意見の多いにも関わらず採決されたこの法案。田原総一朗氏と鳥越俊太郎氏の2大ジャーナリストが日本の行く末を危惧する。

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田原:与党が安保関連法案を強行採決した7月15日の衆院特別委員会も、NHKは中継しなかったですね。

鳥越:今のNHKは上から下まで全部、政権には逆らえない。もう事態はそこまできているんですよ。だからNHKのニュースって最近全然おもしろくない。安保法案についても「国会での十分な議論が必要とされます」というようなコメントで終わるんですよ。そんなどっちでもいいようなこと言うなと。

田原:でも、今後何かのきっかけで、完全に流れが変わるかもしれませんよ。与党は参院でも強引に法案を通そうとするでしょうが、あの複雑な法案の内容を本当に理解できた人がどれだけいるのか。僕は8割どころか、ほとんどの国民がわかっていないと思う。

鳥越:僕自身もそうです。突き詰めていくと、何のための法案なのかよくわからなくなります。

田原:自民党の国会議員の連中もよくわかってないんじゃないか。アメリカはベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争と何度も戦争をやっているけど、いつもアメリカから仕掛けている。仕掛けたのは日本くらいでしょう。おそらく、これからもアメリカが戦争を仕掛けられることはない。それなら何のために集団的自衛権が必要になるのか。

鳥越:第2次大戦後にアメリカが戦争を仕掛けられた唯一の例は、2001年にニューヨークのビルに飛行機が突っ込んだ同時多発テロ事件です。僕らはあれをテロと呼んでますが、実は戦争ですよ。今、イスラム過激派がアメリカを最大の敵と見立てて、地球上のあちこちで戦っている。正規軍対非正規軍の戦いです。03年のイラク戦争にイギリスやスペインが有志軍として加わりました。その後、04年にマドリードで列車が爆破されて191人が亡くなり、05年にはロンドンで地下鉄とバスが爆破され56人が死亡した。これは全部、イラク戦争の報復ですよ。

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