クラウン治療とは、土台(コア)を作ってそこに人工物をかぶせるもので、通常、3回の受診が必要だ。

 1回目は、コアを埋め込むために歯を削って形を整え、型をとるまで。型から石膏模型を作り、歯科技工士が模型上でコアを作る。

 2回目は、できたコアを歯に固定し、歯とコアを削ってクラウンをかぶせられる形に整える。その後にまた型をとり、コアと同じ手順でクラウンが作られる。

 3回目にクラウンをかぶせて調整し、固定する。

 歯科用CAD/CAMの導入で変わったのは、技工所の仕事だ。模型上で手作りしていたコアやクラウンが、コンピューター操作でできるようになった。デザインの精度は高く、製作時間は短くなり、歯科技工士の腕に左右される領域が減った。結果、完成品の質のばらつきが少なくなり、全体として品質が向上した。

「患者さんにわかりやすい利点は白い歯にできることで、治療回数は変わりません。しかし、最近増えている金属アレルギーの心配はありませんし、工場で生産される高品質のブロックを削り出すため、クラウン自体が高精度、高品質になっています」(馬場歯科医師)

 残念ながら現時点で大臼歯は自費診療になる。材料はおもにジルコニアで、1本10万~15万円ほどかかる。ブリッジも可能で、歯が1本ない場合で20万~45万円程度だ。

 自費診療では、口の中を直接光でスキャンする光学印象採得もおこなわれている。型や模型を作らないので、エラーの生じる機会が減り、より高精度なクラウンが作れる。患者には型をとるときの苦痛がない。

「歯科医療はデジタル化が進み、精度の高い治療ができるようになっています。小臼歯のハイブリッドレジンクラウンが保険適用になったことを端緒に、ますますデジタル化が進むことは間違いありません」(同)

週刊朝日  2015年7月24日号より抜粋