NHK連続テレビ小説「花子とアン」(月~土、朝8時~ほか)の快進撃が止まらない。7月5日には25.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の視聴率を獲得するなど、その人気ぶりに、花子にくぎづけの識者はヒットするドラマとの共通項があるという。

<激しいラブシーンがない><初恋がテーマ><主人公に想いを寄せる幼なじみがいる><主人公と親友など2組のカップルの恋が同時進行する>──これらは、ドラマがヒットする黄金法則ともいわれる。あの韓国ドラマ「冬のソナタ」に似ていると、漫画家のカトリーヌあやこさんは言うのだ。

「冬のソナタ」はちょうど10年前の2004年にNHK総合で放映され、一大ブームを巻き起こした。チュンサン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)には別々のパートナーがいたにもかかわらず、出会ってから恋に落ちる。さまざまな障害を乗り越えながら、高校時代の初恋の人だったことがわかり、ゴールに突っ走る。

 韓国ドラマに詳しいジャーナリストの中島恵さんはこう言う。

「花子(吉高由里子)と花子の親友・葉山蓮子(仲間由紀恵)の恋の模様が、瞬時に切り替わり、東京と福岡で同時進行しています。二つの恋が複雑に絡み合うというのは、韓国ドラマでもよくある展開です」

 
 そして幼なじみの木場朝市(窪田正孝)は、クリスマスパーティーが行われた後、カフェのカウンターで酔いつぶれた花子の隣で、「あんたに言っておきてえことがある」と、初対面の村岡英治(鈴木亮平)に「あの辞書をくれたあんたを必死に忘れようとしていた」と、花子の気持ちを代弁する(11日放送)。

「冬ソナ」も、ユジンの婚約者だったサンヒョクは幼なじみ。子供の頃からいちばんヒロインに近く、何でも知っている仲でも、ヒロインは幼なじみの恋には応えない。

 また、ドラマの盛り上がりに欠かせない、“いびり役”の登場人物もいる。それが、嘉納家の女中・山元タミと、花子が雑誌「ニジイロ」の編集者として担当する小説家の宇田川満代だ。

「障害があればあるほど、ラブストーリーは盛り上がっていく。冬のソナタではチェリンという恋敵がいて、何かとユジンに意地悪をしました」(中島さん)

 前作の「ごちそうさん」でも、主人公のめ以子をいびる小姑役のキムラ緑子が注目を集め、後半ドラマを盛り上げた。今回もタミと宇田川が、何を仕掛けてくるかと想像がふくらむ。

「ある程度、ストーリーがわかっている中で、『次はどんな展開になるんだろう?』と妄想すると楽しい。花子と村岡は結婚するので、どんな結婚式を挙げるのか、きっかけは?などと、考えるのが楽しくなります」(カトリーヌさん)

週刊朝日  2014年7月25日号より抜粋