今後はニューヨークで治療に専念するという (c)朝日新聞社 @@写禁
今後はニューヨークで治療に専念するという (c)朝日新聞社 @@写禁

 中咽頭がんであることを公表し、治療のため演奏活動を休止することになったミュージシャンの坂本龍一(62)が、ちょっとした“騒動”に巻き込まれた。

 きっかけは、坂本のがんをスクープした7月10日付「スポーツニッポン」の記事。今後の治療方針について、こう書かれていた。

<放射線治療については、反原発運動の先頭にたってきた立場から主治医に拒否する考えを伝えている>

<放射線治療まで拒否する不屈の闘病>

 坂本といえば、以前から反原発運動に熱心で、特に福島第一原発の事故後は市民集会などにも積極的に参加してきたことで知られる。

 しかし、だからといって放射線治療まで拒否するものなのだろうか。がん研有明病院の川端一嘉医師は首を傾げる。

「中咽頭がんでは、抗がん剤や手術と併用しながら放射線治療を行うのが一般的で、初期ならば治癒率も高い。放射線治療では副作用として唾液の分泌が落ちたり味覚が低下することもありますが、手術では嚥下(えんげ)障害などが残る可能性もあることを考えると体への負担も少なく、メリットのほうが大きい。あえて拒否するという話は、あまり聞いたことがないですね」

 インターネット上の掲示板にはさっそく、

<反原発ってアホばっかなんやね。原発、放射線についてもっと勉強しようよ>

 などと、坂本や反原発運動を批判する書き込みが相次いだ。

 ところが、当の坂本は自身のツイッターで、

<ああいう芸能記事を真に受ける人いるの?>

 と、報道を暗に否定。所属事務所も、治療方法の詳細を公表する予定はないとしながらも、こう困惑する。

「放射線治療を断固拒否するということはなく、それも含めて、今後、担当の医師と相談して治療方法を決めていく予定です。『反原発だから』と断定された報道には、本人もあきれているようです」

 スポニチ文化社会部に問い合わせると、

「しっかり取材はしておりますが、詳細についてはお話しすることはできません」

 とのこと。病気に加えて予期せぬ逆風を受けてしまった「教授」だが、「必ずきちんと治して戻ってまいります」という力強いコメントどおり、早期復活に期待したい。

(本誌取材班)

週刊朝日 2014年7月25日号