3時間45分にも及ぶ判決文の朗読後、満面の笑顔で会見の場に現れた村木氏は、

「うれしいです。判決を聞いて、1回心臓が大きく鼓動しました」

 と語った。しかし、昨年の6月に無実の罪で逮捕され、長い間の犯人扱いに拘置所暮らし、そして巨大権力である検察特捜部との厳しい闘いを強いられてきた。

 保釈後からこれまで、友達と食事に出かけたり、娘たちと過ごしたり、久しぶりの育児休暇のような感じで過ごしました。一時は6キロ減った体重も4キロ戻りました。拘置所にいるときは、仕事もないし、家事をすることもなかったので、今、誰かのために何かできるというのはとても幸せなことなんだな、と感じています。

──2009年6月14日、当時、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長だった村木厚子氏は大阪地検特捜部に逮捕された。逮捕容疑は虚偽有印公文書作成・同行使、実体のない障害者団体「凛の会」に郵便割引制度の適用団体と認める偽の証明書を発行するよう部下に指示したというものだった。

 その少し前に、大阪地検の事務官の方から役所に「大阪まで来てほしい」と電話がありました。当時の部下であった上村勉さんもすでに逮捕されていましたし、報道でも私の名前が取りざたされていた。なんで早く事情を聴いてくれないんだろう、と感じていましたから、やっときたか、という思いでした。

 弁護士の弘中(惇一郎)先生に相談したところ、「多忙を理由に『東京でやってもらえないか』と交渉することもできますが、大阪に来なかったことを理由に逮捕されることもあります」ということでした。それで、2日分の着替えを持って大阪に向かいました。

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