受験ストレスで、子どもたちが学校で荒れるって言うんです。彼女の息子が通っていた公立小学校では、学級崩壊した学年に優秀な学校へ行く子が多かったって…」

 そんな話は、中学受験否定派の陰謀──。そう考えて一蹴しようとしたものの、日々長女にかかる受験ストレスを目の前にして、潰れる子もいるだろうと思うようになった。長女が通う大手進学塾では、6年生の夏期講習で、一日に必要な勉強時間は10時間にもなる。秋になると、週末も含めて、週に6日も塾に通いつつ、模試も受ける。娘の心身にかかる負担を心配していると、名門校に娘を入学させた先輩ママにこう言われた。

「夏休みが終わったら、学校で息抜きできるから大丈夫」

 学校を息抜きの場だという親の認識に驚いたが、目の前にある膨大な量の課題を見ると、いつしか長女に学校で気晴らししておいでという気持ちになっている自分に気づいた。

AERA 2013年12月2日号より抜粋