「あなたアブラっ臭い、うえー、吐き気する。お願いだからそばに寄らないで!」

 21年連れ添った妻があからさまにこう言うようになって、5年以上が経つ。

 記者は52歳。そう、加齢臭世代のまっただ中。

 しかもこの夏は"脱原発"を目指し、事務所でも自宅でもクーラーを一回も使わず、扇風機で頑張って、汗と脂にまみれる毎日。加齢臭も半端ないはずだ。というわけで、加齢臭対策の最新情報を体を張り、いや体を洗い取材してみた。

 まず話を聞いたのが東京都江戸川区にあるライオン研究所。加齢臭は30代から発生し、皮脂が原因と発表、研究を続けている。

「加齢臭の原因」は脂なのだろうか。

「はい、人間の体からは表面の乾燥を防いで、外敵から守るために皮脂が分泌されています。これが紫外線に触れたりすることで酸化、臭いを発するわけです」(ライオンビューティケア研究所・藤山昌彦さん)

 脇の下からのツンとした刺激臭は、細菌による分解が原因。殺菌剤配合の制汗剤や薬用せっけんなどによる殺菌で解決できる。

 ところが皮脂が酸化することで発生する脂っぽい臭いは、殺菌・消毒だけでは解決しない。皮脂分泌を抑え、酸化を防ぎ、それでもできた酸化物を抑制しなくてはならない。

●皮脂の分泌量は30代でピークに

 10代での皮脂の分泌量は平均して2・5μg(μは100万分の1。体表1平方センチあたり1分間の量)。20代でその倍に、30代で3倍とピークになる。40代から低下し、50代では20代と同じ量に。世代によって量の変化と、皮脂成分の変化があるので、発生する臭いも異なる。

 ライオンでは2008年、30代男性の体から発生する加齢臭の原因を、ペラルゴン酸と特定した。その酸化を抑えるといわれる「メマツヨイグサ」に注目したのだ。そうしてつくられたのが、加齢臭防止のシリーズ「PRO TEC」だ。

 ボディソープを使ってみると、メントール系の刺激的な香り。洗い上がりはサッパリしていた。いったい、皮脂は体のどこから分泌されるのか。

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