YouTuberデビューを飾った江頭2:50 (c)朝日新聞社
YouTuberデビューを飾った江頭2:50 (c)朝日新聞社

 最近、芸人のYouTube進出が世間を騒がせている。梶原雄太、中田敦彦はいまや登録者数100万人を突破する人気YouTuberとなった。一方、島田紳助がmisonoのYouTubeチャンネルに出演したことや、田村亮の復帰に向けて田村淳が「ロンブーチャンネル」というコンビ名義のYouTubeチャンネルを開設したこと、謹慎していた宮迫博之がYouTuberとして活動を再開したことなども話題になっている。

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 そんな中で、あの伝説の男が満を持して立ち上がった。体を張ったハイテンションで過激な芸風で知られる江頭2:50が自身のYouTubeチャンネル「エガちゃんねる EGA-CHANNEL」を開設し、YouTuberデビューを果たしたのだ。2月1日に1本目の動画が公開されると、すぐにすさまじい反響を巻き起こした。そこでは、尻の穴に毛筆を入れて字を書く「お尻書道」というパフォーマンスを披露した。

 2月7日現在、1本目の動画の再生回数は260万回を突破。チャンネル登録者数は77万人を超えている。開設1週間足らずでこの数字は、過去のあらゆる芸人YouTuberを上回る驚異的なペースである。

 江頭のYouTubeチャンネルはなぜ短期間でこれほどの支持を獲得することができたのか。

 それは、潜在的なファンの多さと、その熱量によるものだろう。江頭のファンは「俺は結構好きなんだよね、エガちゃん」というスタンスの人が多い。「俺は」の「は」がポイントだ。そこには「ああいう芸風は苦手な人も多いかもしれないけど」という留保が含まれている。

 裸で、下品で、過激という三拍子が揃っていると、それだけで拒否反応を示す人も多い。

 だからこそ、ある時期まで江頭は雑誌の「嫌いな芸人ランキング」で1位を独走していた。好きな人は好きな人で「俺は好きだけどね」と相手に配慮しながら留保付きで控えめに好意を表明することになる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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ある意味もともとYouTuber的な芸人だった