現役ドラフト制度の導入を訴えた巨人・丸 (c)朝日新聞社
現役ドラフト制度の導入を訴えた巨人・丸 (c)朝日新聞社

 それは異例な“提案”だった--。

 1月22日、日本野球機構(NPB)とプロ野球選手会の事務折衝のなかで、丸佳浩巨人)、秋山翔吾(西武)が訴えたのが「現役ドラフト」の導入だった。「現役ドラフト」とは、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる制度。選手会は、一昨年からこれらの選手を救済すべく「現役ドラフト」を提唱していた。

 この背景にあるのが、アメリカで導入されている「ルール5(ファイブ)ドラフト」だ。これは有望な選手をマイナーで飼い殺しにするのを防ぐために毎年行われているもので、メジャー40人枠から漏れている選手の中で、18歳以下で入団した選手なら在籍5年以上、19歳以上の入団ならば在籍4年以上の選手を他球団が指名できる。

 では、日本球界で「現役ドラフト」を実際に導入すると、どんな選手が対象となり、他球団の補強ポイントにマッチするのか、実際にシミュレーションしてみた。まずは、米国のルールを参考にして、対象選手の条件を設定してみよう。

■高卒プロ入りは5年以上、大学・社会人、独立リーグ出身は4年以上在籍(※移籍した選手は移籍後の球団の在籍年数が上記以上)
■過去に1試合でも一軍の公式戦に出場経験あり
■昨シーズン、一軍公式戦出場試合数が投手は5試合以下、野手は10試合以下の選手
■一軍最低年俸(1500万円)未満(日刊スポーツ参照)
■外国人登録の選手は除く
■コーチ兼任の選手は除く

 これらの条件を満たした主な選手を12球団別に抽出すると、下記の選手が候補にあがった。

<パ・リーグ>
●西武
中田祥多(捕手・高卒12年目)
永江恭平(内野手・高卒8年目)
水口大地(内野手・独立リーグ出身7年目)
金子一輝(内野手・高卒6年目)

ソフトバンク
川原弘之(投手・高卒10年目・育成契約)
笠原大芽(投手・高卒7年目・育成契約)
島袋洋奨(投手・大卒5年目・育成契約)
江川智晃(外野手・高卒15年目)
釜元豪(外野手・高卒8年目)
真砂勇介(外野手・高卒7年目)

日本ハム
中村勝(投手・高卒10年目)
森本龍弥(内野手・高卒7年目・育成契約)
谷口雄也(外野手・高卒9年目)
岸里亮佑(外野手・高卒6年目)

オリックス
塚原頌平(投手・高卒9年目・育成契約)

ロッテ
阿部和成(投手・高卒12年目)

楽天
今野龍太(投手・高卒6年目)
下妻貴寛(捕手・高卒7年目・育成契約)

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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