TはSNSなどでも「昭和を感じさせる」などと紹介される名店だ。

 8月22日、樋田容疑者は「サザンセトとうわ」で野宿でお世話になったとお礼に草むしりなどをした。

 そして、お礼として店から「かつとじ定食」をごちそうになった。樋田容疑者はここで「櫻井潤弥」という偽名を使っていたという。

「樋田容疑者は、サザンセトとうわを拠点に頻繁に海に出ていたそうだ。そこでカキやワカメ、魚などをとったり、釣ったりして調理して食べていたようです。その時、すでに自炊のためか鍋やコンロなどを自転車に搭載していた。

 サザンセトとうわはサイクリスト誘致に力を注いでいて、写真コーナーを作ろうとしていたので樋田容疑者に記念撮影を依頼すると『第1号が僕でいいですか』などと喜んで応じてくれた。うれしくて仕方ない様子で『いっぱい写真を貼ってください』と言っていたそうだ。自転車に積まれていた調理用品や調味料は『お金をできるだけ使わないようにと買い揃えていたら増えてきた』と説明していたようだ。樋田容疑者はサイクリストには人気のブランドの服を着ていたそうで、すべて盗んだものだとみられる」(捜査関係者)

 9月29日夜に逮捕された樋田容疑者。その前に立ち寄った道の駅「上関海峡」で盗んだ弁当は地元名物のタコを使った「タコの炊き込みご飯弁当」だった。

「樋田容疑者は、カキをとって生で食べたり、釣った魚をさばいて夕飯にするなどグルメな旅だったようだ。樋田容疑者の自転車からは包丁など調理器具も見つかっている。愛媛県では『お助け下さい』と自転車に貼った紙を見て地元の人が卵焼きやごはんなど、手料理をふるまったようだ。また、樋田容疑者が四国に渡ったしまなみ海道に面する無人島、愛媛県今治市の見近島には、キャンプ場がありそこでは海に潜って、貝や魚を捕獲して焼いて食べたりしていた。

 お遍路さんに扮し、地元のやさしさと山海のグルメが樋田容疑者の逃走を支えていたようです。タコの炊き込みご飯も、うまいグルメに慣れたゆえそれに手が出たのかもしれない」(捜査関係者)

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完全黙秘の樋田容疑者に対し…