なぜ、このような規定があるのかというと、日本が侵略された時、国連安保理で対抗措置が決定されるまでにタイムラグがあるからです。一方で、国連が対抗措置を決定した場合、日米の行動はそこで終結する。それが「国連中心主義」ということ。日本国憲法、国連憲章、日米安保条約は同じ理想、理念に基づいてつくられていて、この3つは「三位一体」なのです。

──9月30日には、沖縄県知事選が投開票となります。翁長雄志前知事は、日米同盟が沖縄の犠牲のうえに成り立っていることを批判していました。

 これは日本政府が悪い。弱腰と手抜き、臆病さ。米国の軍事戦略は大きく転換しました。まず、米国は実戦部隊を最前線に置く必要はないと考えている。日本は、地政学的に中国とロシアと対峙していますが、沖縄の海兵隊も事実上はグアムに行ってます。

 たしかに、部隊を緊急発進させる際の偵察や通信など、各国との協調作戦の機能は日本国内に置いておく必要があり、それには沖縄が便利ではある。しかし、辺野古に海兵隊の飛行場を新しく建設することは軍事的に必要ありません。美しい海を埋め立てる必要はないし、そもそも米国内であんな飛行場を建設しようとしたら、米国民は反対しますよ。

 この問題は、日本が米国ときちんと話し合えばいい。米軍が撤退して国内で軍事的能力に欠けた部分が出たなら、日本が自国で整備すればいい。それだけのこと。日本政府が米国に何も言えないことが最大の問題なのです。

──沖縄県知事選に求めることは。

 沖縄については、県内の人でも「基地からお金をもらっているらからいいじゃないか」いう人もいますが、それでは何の問題の解決にもならない。まずは沖縄が一つになってほしい。

(聞き手/AERA dot.編集部・西岡千史)