米国は言うまでもなく“スポーツ大国”だが、各競技でプレーする選手の人種の割合が大きく分かれていることもよく知られるようになった。そのデータは、セントラル・フロリダ大が毎年発表している「Racial and Gender Report Card」という資料に詳しく記載されている。
NBA(2016-17年シーズン)
黒人74.4%、白人19.1%、ラテン系4.9%、アジア人0.7%
MLB(2017年)
白人57.5%、ラテン系31.9%、黒人7.7%、アジア人1.9%
NFL(2016年)
黒人69.7%、白人27.4%、ラテン系0.8%
注・開幕時のもの
これらの数字を見ていくと、NBAは黒人、MLBは白人(&ラテン系)の選手たちが多数派を占めるリーグだという構図が見えてくる。黒人と白人の割合が最も近いのがアメリカン・フットボール(NFL)。NFLが米国国内の幅広い層に支持されている要因の一つを、ここに見いだすこともできる。
この三つのスポーツの中では、メジャーリーグにおける黒人選手の少なさが目立つ。1947年にジャッキー・ロビンソンが壁を破って以降、しばらくは黒人選手が年々増加し、1981年には全体の18.7%が黒人プレーヤーだったというデータが発表されている(統計はSABR.ORGより)。しかし、近年は完全にジリ貧。2004年には黒人のプレーヤーの割合が初めて10%を下回り、昨シーズンはついに過去最低の数字を記録した。
黒人の野球離れの理由に関しては、これまでも諸説が語られてきた。「バスケ、フットボールの方が黒人特有の身体能力が直接的に生かしやすい」「NBA、NFLには黒人選手のスーパースターが数多く生まれてきた」「ベースボールは一般的にマイナーでの育成により多くの時間がかかり、一部の貧困層の黒人にとって一獲千金のうまみに乏しい」「最近は幼少期からベースボールの英才教育を受ける郊外在住の白人が増えた」……。
「僕の黒人の友人たちにも『ベースボールはスローだから退屈だ』なんて言われてしまう。『ベースボールをプレーするのはクールじゃない』とかはっきり言う奴もいるくらいだからね」