今やほとんどの有権者は、「二大政党制を機能させるために、自民党ではなく民進党に投票しよう」とは思わないはずだ。有権者が知りたいのは、次にどんな政治を目指しているのか、どんな勢力として躍進していきたいのかということではないのだろうか。

 そのように考えた時に鍵になるもののひとつは、民進党が従来から掲げている「多様性」や「共生」の理念だと私は思う。

 今の民進党を見ていると、もっと愚直にそれを追い求めてほしいと強く感じる。党内の意見が多様なのは良いことだが、蓮舫氏の二重国籍問題の時のように、多様性を排除するような考え方さえも取り込んでしまうことが民進党の「多様性」だとしたら、それは本末転倒だ。

 二大政党の一翼になるために、やみくもにテリトリーを広げるのではなく、自分たちの立ち位置をもう一度考え直してほしい。

 今の政治を変えるためには、どこかの政党に期待するだけでは駄目だと思うけれど、もう少し期待させてくれる政党があっても良いと思う。9月の民進党代表選に向けて、これからの社会に期待できるような議論が行われてほしい。(諏訪原健)

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諏訪原健

諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

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