眼に病気はないか。細隙灯顕微鏡検査をする
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他覚的屈折検査で、ピントが合うかをチェック
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遠くが見えるか、自覚的屈折検査で調べる
遠くが見えるか、自覚的屈折検査で調べる

 自分に合った老眼鏡、もっていますか? 「いや、まだ見えてる」と腰が重い人、安いメガネでその場しのぎをしている人、肩こりや頭痛が悪化していませんか? 遠近両用レンズなら近くも遠くも見えて便利だが、度数の決め方やレンズの選び方にコツがある。週刊朝日MOOK『老眼&白内障完全ガイド 眼のいい病院2017』では、老眼に悩む記者(51)が遠近両用レンズの老眼鏡作りに挑戦した。

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「よし、遠近両用を作ろう」と決意したのは49歳のとき。1枚のレンズで近くも遠くも見えるのだから便利そう。同じチェーン店で視力検査をして購入した。1万4千円なり。ところが、完成したメガネをかけると……世界がゆがんだ。慣れるまで1、2カ月かかると店では言われたが、本の文字列がひし形に見え、足元が不安になる。1カ月待たずにお蔵入りとなった。

 実際、周囲にも「遠近両用メガネは使えない」という人は少なくない。この原因はいったいどこに?

「遠近両用のレンズはゆがみやすい性質があるのは確かです。でも、レンズの性質と度数の決め方が正しければ問題はないはずです」

 そう話すのは、日本眼鏡学会理事長で、眼鏡光学の専門家の畑田豊彦氏だ。

 遠近両用メガネには、レンズの上部に遠くを見る「遠用部」があり、下部に手元を見る「近用部」がある。遠用部と近用部の間の中間部分はゆるやかに度が変化する。視線を動かすことで遠中近のさまざまな距離を見るため、目の動きがレンズの構造に合っていないと、ゆがみが出やすい。

「最新式のものほどゆがみが生じにくいです。そのぶんコストもかかっているので、質と値段は比例します。価格の安いレンズは、その人に合わない設計のものや、最終調整が雑な可能性が高いと思います」(畑田氏)

■見え方で肩こり、頭痛、うつ病に

 もうひとつの問題は度数だ。遠近両用は、遠用部と近用部で度数が違う。この差を「加入度数」と言い、数字が大きいほどゆがみが生じやすい。ちなみに記者のメガネは+2.25Dだった(Dは屈折力の単位)。

 畑田氏は、担当するスタッフの経験値のほか、メガネを作るルートが明快ではないことも問題だという。本来は、まず眼科に行って検査を受け、処方箋(指示書)をもらってメガネ店に行くことになっている。しかし、現状では直接メガネ店に行ってメガネを作ることもできる。

「老眼世代は、視力低下の背景に緑内障や白内障などの病気が存在する可能性があります。まずは眼科で診察を受けるべきなのですが、レンズやフレームのアドバイスは、メガネ店のほうが丁寧にできるという側面があるのも事実です」(同)

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