可能性のある選手は、柴崎岳(鹿島)、齋藤学(横浜FM)の二人か。どちらも強い海外志向を持つ。奇しくも、同じ代理人だ。

 柴崎はクラブW杯決勝でレアル・マドリー(スペイン)を相手に叩き込んだ2得点が、名刺代わりにはなるだろう。もっとも、技巧派MFは欧州で飛躍するにはポジションが見当たらない。ボランチでは非力、サイドではスピードが足りず、トップ下では密集した相手に脆さを見せる。三列目からフリーで持ち上がれたら、「魔法」が使えるのだが…。少なくとも、本人が希望するスペインでは厳しい。

 齋藤はドイツ、ベルギー、クロアチア、スペインなどの数クラブと交渉を進めている。今シーズンはJリーグの年間ベストイレブンに選ばれるなど、サイドアタッカーとして急成長。守備のタイミングをつかみ、中よりのスペースでタメを作り、決定的なパスも出せるようになった。なによりキレ味鋭いドリブルで自らマーカーをはがし、決め切れる力は強烈なセールスポイント。どの国でもやれるだけの力はあるだろう。あとは条件次第か。

 もっとも、冬の移籍は不調なチームがてこ入れする場合が多く、リスクは高い。欧州のシーズン開幕に合わせた夏に契約するほうがデメリットは少ないだろう。その点、鎌田大地(鳥栖)、大島僚太(川崎)、橋本拳人(FC東京)などリオ世代も、活躍次第で夏の欧州移籍があるか。

 いずれにせよ、欧州進出は日本サッカー発展のバロメーターになるだけに、その去就からは目が離せない。(文=スポーツライター・小宮良之)