勘違いした相談者に結婚相談所は困惑している(※イメージ写真)
勘違いした相談者に結婚相談所は困惑している(※イメージ写真)

 生涯日々の生活を共にする結婚相手――そこに“性の相性”を求める人がいても不思議ではない。

 今、成婚を目指して結婚相談所に登録する人のなかには、見合い前のカウンセリングや見合いの席で、みずからの“性癖”をカミングアウトして、“性の相性”が合う相手とのマッチングを希望する人も出てきたという。とりわけ、男性ほどその傾向が顕著なようだ。

 大阪府内の女性相談業者がその実態をこう明かす。

「とくにSM嗜好の方が、『Mの女性を探してほしい』というケースが肌感覚では多いです。もちろんその逆もあります。ほかにもスワッピングや、女性の尿を飲みたい、男女の営みを第三者に見せたり、写真や動画で撮影するといった特殊性癖を具体的に挙げ、それに見合った相手女性を探してほしいとの声は年々増えています。率直に申せば、辟易しています」

 たしかに結婚生活で「性的調和」は大事な要素だ。2012年の司法統計によると離婚理由のうち、この性的不調和は男性では5位、女性では8位をつけている。ちなみに男女とも1位は「性格の不一致」だ。

 だがこの統計結果はごく表層的な見方にすぎないという。前出の女性相談業者が続けて語る。

「性格の不一致を離婚理由に挙げたカップルうち、恐らく3分の1から半分は“性的不調和”でしょう。いくら離婚時の話し合いとはいえ、性に関する話は家庭裁判所や弁護士を挟んだ席ではやはりしにくいもの。だから“性”の話を“性格”に置き換えただけではないでしょうか。実際、離婚歴のあるクライアントさんからもそうした話は時折耳にします」

 では今後、特殊性癖を前面に出して、これを条件として挙げる“婚活”の流れが相談業者間に定着するかといえば、さすがにそれはないようだ。

「性の相性にフォーカスして相手を探したいならば、その分野に特化した出会い系業者にあたるべきです。結婚相談所は、社会的責任を伴う結婚をしたい人たちが真剣に婚活しているところという信用の上に成立しているからです」(結婚相談所の良縁コンシェルジュ町田・佐野浩一氏)

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