投票権を巡り転売ビジネスが横行するほどAKBに「ハマる」ファンが増えているという中国。その背景について、福島氏は2つの理由を挙げる。ひとつは選挙制度。自らの力で、推しメンを舞台に乗せる「民主主義的手法」は、政治において事実上選挙権のない中国の若者を夢中にさせるのだという。
もうひとつは「ロリ」や「萌え」といった日本から入ってきた「新しい美意識」が、徐々に市民権を獲得していること。このふたつが、AKBブームを支えているというのだ。
福島氏は、さらにこう深く切り込む。
「AKB48ブーム以前にも、実は日本の小学生アイドルが『萌える』として、中国の一部ネットユーザーの間で話題になったことがあったから、もともと少女の未成熟美を礼賛する素地は中国人にもある。ただ、それはむしろ淫靡なイメージがあり、一つ間違えれば幼児ポルノ犯罪につながり、大っぴらにその趣味を公言できない。それを、大っぴらに『成長を応援』という表現で公式メディアにも取り上げられるようにしたのが日本のアイドル文化であり、AKB48であり、だからこそAKB48ファンは日本人も中国人も『いやらしい目では見ていない。彼女らの成長する姿を見るのがうれしいだけ』と強く主張するのかもしれない」(同書より)
“リアルな中国”を知る福島氏による中国人のAKBブームの背景。今回の総選挙でも、中国からの大量票は必至であろう。それが結果にどう影響を及ぼすのか……ファンならずとも興味深い。