「神武以来の美少年」と称されたのは、翌年、銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」の専属歌手となったとき。鼻筋が通りくっきりした目は日本人離れしているが、女性のような美しさでもある。当時の銀巴里は、川端康成や岡本太郎、江戸川乱歩、三島由紀夫など文化人が集っていた。美輪さんが訳詞したシャンソン「メケ・メケ」が大ヒット、看板歌手となった。
やがて、元祖シンガー・ソングライターとなるが、そのきっかけは九州の炭鉱町でのコンサートにあった。人々の心を揺さぶる「ヨイトマケの唄」もその一つ。歌のモデルとなる人物とそこに込めた思いとは何か。
鴻上尚史と進藤晶子のテンポのよいMCに、美輪さんの深い話が次々と引き出される。番組の終わりでは、話題となっている「トランスジェンダー」について、鴻上が美輪さんにズバリ尋ねる場面もある。常に時代の最先端を走り、生きるパワーに満ち溢れた活動の背景。美輪さんが辿ってきた人生は波乱に満ちているが、だからこそ絶えることのない輝きを放つ。その魅力が画面から伝わってくる。お見逃しなく。