なので、ショーンK氏の「国際的な経営コンサルタント」という肩書きが真っ赤なウソであるとバレても、僕は「やっぱりそうか」という感想しか持たないが、コンサル業界と縁のない人たちはそのような「コンサルの匂い」など分かるはずもなく、ましてや「報道番組」で紹介されている肩書きがホンモノであると信じてしまうのは当然である。

 その意味で、ショーンK氏を「経営コンサルタント」としてコメンテーターに起用していた報道番組は罪が重い。『報道ステーション』など、今回の騒動をまるで他人事のような伝え方をしていたが、今回の件はショーンK氏が番組降板を申し入れてそれで終わるような話ではないだろう。

 まあ、文春報道を受けてショーンK氏は、レギュラーとして出演していたテレビ、ラジオ番組のすべてに降板を申し入れたとのことだが、その「あまりの潔さ」にも違和感が残る。「まだ何か文春は握っているのではないか?」とまで思わせる潔さであるが、そのあたりは推測さえもできない話なので、深くは突っ込まない。

●報道番組とは何か、キャスターとは何か

 さて、今回の「ショーンK問題」であるが、最も大きな被害を被ったのは、4月からの新報道番組『ユアタイム~あなたの時間』でショーンK氏をキャスターとして起用する予定だったフジテレビだと言われている。たしかに新番組、しかも社運を賭けた報道番組のキャスター予定者がこのような騒動を起こしたのは、番組の信頼性という意味から言っても大きな打撃だ。

 しかし、そもそも経営コンサルタントを報道番組のキャスターに起用しようとする、その考え方自体が間違っていたのだ。つまりフジテレビは、報道番組とは何か、キャスターとは何かということがまったく分かっていなかったのである。

 というのも、「報道番組のキャスターはCMの仕事を受けない」ことが原則だからだ。政府や行政機関、あるいは大企業の不正を暴き追求することがジャーナリズムの大きな使命であるからこそ、報道番組の顔であるキャスターはどこかの企業から金をもらって、その企業や商品の顔となることは許されない。だからこそキャスターはCMの仕事は引き受けない。かつての人気キャスターである筑紫哲也氏も久米宏氏も受けなかった。久米氏にいたっては『ニュースステーション』時代には、他のメディアのインタビューすら受けなかったという。

 このように、CMさえも自粛すべきキャスターに経営コンサルタントを起用することは、そもそもが大きな間違いなのだ。なぜか?

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