新しい作品のスタートでお別れです

文・中島かずき

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 ようやく、アニメ『キルラキル』の製作が発表になりました。
『天元突破グレンラガン』の劇場版が終了し、今石洋之監督と新しい作品を作ろうと話し始めてから、もう3年以上たつと思います。
 最初は、どうしても『グレンラガン』の呪縛にとらわれて、あれ以上の企画をと勢い込み、気持ちばかりが空回りしてなかなか具体案が出ませんでした。
 打ち合わせでも、自分でも肩に力が入っているなあと思うことが多々ありました。
 これは危険な兆候です。
 うまくいった前作に引きずられて、同じようなラインを作って中途半端な作品になるというよくないパターンに陥りそうでした。
 なので、途中で気分を変えて、あまり大上段にかまえずに、わりとすぐに作れて、自分たちが面白そうと思う要素でかためたシンプルな活劇をやろうと思い直しました。

 その結果出てきたのが、今回の『キルラキル』です。
 子どもの頃好きだった『男一匹ガキ大将』から『男組』などの学生を主人公とした抗争劇のテイストと80年代少年ジャンプ黄金期のバトルマンガの手法を取り入れた、女子高生二人の抗争を中心とする異能力バトル物とでも言えばいいでしょうか。
 一度壁を突破すると、形が見えるのは早かったのですが、おおまかなラインが決まったところで、『仮面ライダーフォーゼ』の仕事が急に決まってしまいました。
『フォーゼ』の企画を最初に聞いたときに「うわ、こっちも学園物か」と驚きました。あちらは東映さんからの企画だったのですが、偶然というものはあるのですね。
 同時進行だとまずかったかもしれませんが、ちょうど今石さんも『ブラック★ロックシューター』の仕事が入ったので、『キルラキル』は一時中断という形になりました。なんとか『フォーゼ』とは差異はつけられたと思うのですが、最初は焦りましたよ。ずっと腹に抱えていたのですが、『キルラキル』が発表になったのでやっと言えます。
 でも結果的に、ちょっと間を置いたのはお互いによかったのかもしれません。
 僕は『フォーゼ』をやりきって『キルラキル』とはやりたいことが違うことがはっきり認識出来たし、今石さん自身も企画を見つめ直すことができたようです。 
 少し進めていた準備稿を捨て、もう一度設定を煮詰めた結果、かなり納得のいくものになりました。
 まだ細かい内容は言えないのですが、個人的には相当楽しく書いています。
 あまり肩に力をいれないようにと始めたにも関わらず、熱量は『グレンラガン』以上かもしれない。
 殆どの話数を僕が書いていますし、『グレンラガン』よりも一段と、僕と今石さんの色がはっきりした作品になりそうです。
 発表したばかりとはいえ、実は脚本の作業はもう大詰め。最終回に取りかかっています。
 この企画の途中で、今石さんたちはガイナックスから独立して自分たちの会社、トリガーを設立したので、この『キルラキル』が初めてのテレビシリーズになります。
 そういう意味でもスタッフの気合いは充分です。
 ここからどういう作品に仕上がっていくか、本当に楽しみです。

 さて、「AERA」本誌からAERA.Net、そして現在の朝日新聞出版dot.と、6年近くにわたって連載してきたこのコラム『電人N』も今回で終了です。
 連載をしている間に、劇団☆新感線の一演目での観客動員が10万人を超え、芝居以外でも『グレンラガン』や『フォーゼ』という印象深い仕事が出来、28年つとめた双葉社をやめて物書き専業になるという、自分の人生の中でも大きな転機となった時期での思い出深い連載になりました。
 おかげでなんとか毎週話のネタに困ることはなかったのは幸いでした。

 毎回、好き勝手なことを書いていましたが、おつきあいいただきありがとうございました。
 また、どこかでお目にかかれますように。

(更新 2013/5/30 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される





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