対談を行うビル・ゲイツ氏と三木谷浩史氏(撮影/編集部・望月未来)
対談を行うビル・ゲイツ氏と三木谷浩史氏(撮影/編集部・望月未来)
米マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏(撮影/編集部・望月未来)
米マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏(撮影/編集部・望月未来)

 米マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏が12月16日、朝日新聞社の対話イベント「ビル・ゲイツと語る日本、未来」に登場した。2000年にビル&メリンダ・ゲイツ財団を設立し、グローバルな教育・保健・医療問題にも向き合っている同氏。イベントでは財団での活動について話すとともに、来場していた乙武洋匡氏の質問などにも答えた。

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――現在ビル&メリンダ・ゲイツ財団は世界の教育や保健問題に積極的に取り組んでいますが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

 私たちはマイクロソフトで成功に恵まれました。しかし、世界をまわって見た時に、特にアフリカなどでは、私たちにとって当たり前なことがままならない現場を目の当たりにしました。食料や水が十分になかったり、医療が受けられなかったりといったことです。私たちは全ての命には同じ価値があるという理念で、この問題に対して支援したいと思いました。

――そのようなフィランソロピー(慈善事業)をするうえで、大切なことは何でしょうか。

 フィランソロピーというのは、何が一番いいのか、何に取り組めばいいのか、ベストなものを探し求めるとなかなか見つからない、踏み出せないと思います。なので、そんなに最大のものではなく、理性的な部分と、情熱の心の部分と、それで何か、心に響くものがあれば、まずそこから始めればいいと思います。

 私の場合は、現場を訪れ、マラリアのために本当に蚊帳が使われているところや、子どもたちが初めて学校に行く姿を見ることがエネルギー源になりました。

 こうしたものは、ネットを活用して見ることもできます。私たちは、デジタル技術によって助けたい人たちとの距離を縮めることができるのです。

 私は40代でフィランソロピーを始めましたが、ザッカーバーグはまだ31歳なのに奥さんとともに多額の寄付を行っている。うまくいっているところ、いってないところ、まだまだ学習曲線の間だと思いますが、そういうことをやっている人がいる。これが、いい例になると思います。フィランソロピーに関わっている人はできるだけ周りの人を巻き込もうとします。なので、今回のように、私の経験を話す機会を得たことは大変うれしく思います。