

コロナ禍のいま、頻繁に手洗いや消毒をする人は多い。だが、過剰になってはいないか。科学的合理性を知り、適正に対策したい。ナビタスクリニック理事長の久住英二さんと京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸さんが解説する。AERA 2020年7月6日号から。
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Q1:水だけの手洗いはムダ? 帰宅後すぐシャワーを浴びればリスク減?
宮沢:ウイルスの付着ゼロを目指すのではなく、100分の1作戦で
せっけんがあるに越したことはありませんが、なければ水で15秒洗い流すだけでも構いません。もしも新型コロナウイルスが付着したとしても、感染しない量=約100分の1まで減らせば、問題ありません。私はそれを「コロナ100分の1作戦」と呼んでいます。完璧に洗うよりもこまめに洗うことが大切です。手が洗えない時は、濡れタオルやウェットティッシュでよく拭き取るだけでもいい。
帰宅後すぐシャワーや入浴をすれば、ウイルスを気にせずリラックスして過ごせるのは確かですが、無理する必要はありません。仮に服や髪にウイルスが付着していても、なめ回さない限り感染しません。
Q2:手袋で感染リスクは減る?
宮沢:皮膚よりもビニールやプラスチックの方がウイルスは長く生きる。感染防止にならない
手袋をしてウイルスを触れば、手にウイルスが付かなくても手袋に付きます。スーパーや飲食店で手袋をつけっぱなしで商品の受け渡しをしているケースが見られますが、感染予防にならないどころか、手洗いや消毒をサボりがちになるので、かえって危険です。手袋をするより、こまめに手を洗いましょう。
Q3:アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、洗剤。消毒するならどれがいい?
久住:用途によって使い分けて
手指であれば、濃度70~80%のアルコールが良いですが、まだ地域によっては品薄でしょう。酒造会社製の高濃度エタノールでも消毒効果は変わりません。モノの表面の消毒もアルコールが一番手軽ですが、なければ台所用洗剤でも次亜塩素酸ナトリウムでもいい。ただし、後者は金属の腐食や色落ちの可能性があること、希釈直後でないと効果が半減することに注意が必要です。どちらも手袋をつけて使用し、ヌルヌルが残らないよう水拭きを。