豪・パース在住の大学生リアン・ヴェストハイゼンさんはユニオンの選手だが、リーグの大ファンでもあるという。

「リーグは密集戦が少ない分ボールがよく動いて一人ひとりの運動量が多いから、見ていてとてもエキサイティングだよ」

■日本では競技人口100人ほど

 一方、日本では1993年に日本ラグビーリーグ協会が設立され、普及や代表選出を担っているが、知名度は低い。国内の競技人口は100人程度で、ほとんどがユニオンと掛け持ちだ。

「ユニオンの選手でも、リーグの存在すら知らない人も多い。発展途上です」(小西代表理事)

 それでも、リーグに重きを置く選手も増えてきた。大庭雄太選手(33)はリーグ歴約3年。今は、選手としてプレーする傍ら協会スタッフとしても奔走する。

「始めたのは“日本代表になりたくない?”と声をかけられたからで、興味本位でした。でも、初めて国際試合のピッチに立ったときは鳥肌が立ちました」

 日本代表は現在、世界ランク34位。豪州、ニュージーランド、イングランドの「ビッグ3」と対戦歴はないが、小西代表理事は「やったら目も当てられない結果になる」と言い、続ける。

「早いうちに、“ビッグ3に勝ったことがある”レベルまでは持っていきたい」

 サムライズは9日、アジア王者フィリピンと現地で対戦。今年リーグに転向した小森公揮選手(24)は、今回が初代表だった。かつてのチームメイトにはユニオンの日本代表選手もいる。小森選手は出発前、こう話した。

「ユニオンの代表選手を間近に見てきたので、自分がそこまで背負えるか不安もある。でも現地で君が代を聞くのが楽しみ」

 ユニオンW杯の盛り上がりを見て、小西代表理事は「いつかリーグも」との思いも強くした。ラグビーリーグ日本代表の挑戦は続く。(編集部・川口穣)

AERA 2019年11月25日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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