インタビューに答える志位委員長。「天皇を過度に礼賛する状況は国民主権の原則を弱め、権力者にとって都合がいい」と警鐘を鳴らす/3日、東京都渋谷区の党本部で(撮影/写真部・片山菜緒子)
インタビューに答える志位委員長。「天皇を過度に礼賛する状況は国民主権の原則を弱め、権力者にとって都合がいい」と警鐘を鳴らす/3日、東京都渋谷区の党本部で(撮影/写真部・片山菜緒子)

 新天皇即位によって浮き彫りになった皇位継承問題。日本共産党は女性・女系天皇にどんな姿勢なのか。志位和夫委員長に聞いた。

*  *  *

──女性・女系天皇について共産党の立場を教えて下さい。

 これは今まであまり説明したことがないのですが、私たちは女性・女系天皇を認めることに賛成ですし、性的マイノリティーの方など、多様な性を持つ人びとが天皇になることも認められるべきだと考えています。

 天皇は憲法で「日本国民統合の象徴」と規定されています。様々な性、様々な思想、様々な民族など、多様な人々によって構成されている日本国民を象徴しているのであれば、天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもないはずです。かくかくしかじかの人は排除する、ということはあってはなりません。天皇には男性だけがなれるという合理的根拠を説明できる人がいるなら、説明してほしいと思います。同じ理由で、私たちは女系天皇を認めることにも賛成です。

──女系天皇には、保守派から「伝統に反する」という声が強いようです。

 伝統と憲法とが食い違ったら憲法を優先させるべきだ。それは、一貫した我々の立場です。

 皇位継承者を「男系男子」と定めたのは旧皇室典範です。現行の皇室典範は、戦前の絶対主義的天皇制と一体につくられた旧皇室典範を、戦後、日本国憲法が成立した際に、「側室制度」など新憲法に照らして明らかに不適合とみなされた部分だけ削って存続させたものなので、いろいろな矛盾が残ったままです。皇室典範を改正し、女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つと考えています。

──志位さんご自身は、新天皇の即位を「めでたいことだ」と思っていますか。

 新しい方が天皇に就いたことに対して、私は祝意を表しました。儀礼的なものですけれども、これは素直な気持ちで述べました。無理をして述べた、ということではありません。

──めでたいと思っている、ということですね?

 素直な気持ちで祝意を述べた、ということです。

(聞き手/編集部・野村昌二、上栗崇)

AERA 2019年6月17日号より抜粋