一見すると「何の変哲もない」地層だが、科学者にとっては宝物だという (c)朝日新聞社
一見すると「何の変哲もない」地層だが、科学者にとっては宝物だという (c)朝日新聞社

 地球の歴史に「千葉時代」が誕生する。生物などの特徴による区分だが、日本の地名がつけられるのは初めてだ。世界遺産よりも希少だという。

「チバニアン」が大きなニュースになってから最初に迎えた日曜日の11月19日、千葉県市原市の養老川の川岸にある地層には、市の予想を上回る約600人が訪れた。市は最寄り駅など2カ所に臨時駐車場を設け、シャトルバスを運行し、仮設トイレも置いた。

「ここの地層のような場所は、世界で六十数カ所しかない。約1千カ所ある世界遺産より希少です」。市はチバニアンを紹介する動画をユーチューブで公開し、PRしている。国の天然記念物にしてもらう作業も始めた。

「恐竜の骨が埋まっているわけでもなく、見た目は何の変哲もない、ただの崖」

 チバニアンの研究グループを引っ張る岡田誠・茨城大学教授の説明は、身もふたもない。しかし、数十万年前、海底に泥や砂がゆっくり降り積もってできた地層が、その後急速に隆起して、陸上で観察できる場所は世界でもわずかしかない。さらにこの地層から、当時の気候の様子など豊富なデータを読み取れる。それが地球科学の研究にとっては宝物になるのだそうだ。

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