歯周病には早めの受診が効果的。そんな歯周病についての講演会が7月30日午後1時半から、東京医科歯科大学M&Dタワーで開かれる。『日本人はこうして歯を失っていく』の出版記念で入場無料(撮影/写真部・小原雄輝)
歯周病には早めの受診が効果的。そんな歯周病についての講演会が7月30日午後1時半から、東京医科歯科大学M&Dタワーで開かれる。『日本人はこうして歯を失っていく』の出版記念で入場無料(撮影/写真部・小原雄輝)

「リンゴをかじると血が出ませんか」。かつて、こんなCMで有名になった歯周病。日本人が歯を失う原因の1位を占める「要注意」病だ。

 結婚相談所に入会して1年。東京都内に住む会社員男性(37)は、「2回目のデートの壁」に突き当たっていた。自分で言うのも何だが、学歴や年収、容姿などの条件は悪くないと思う。実際、女性からの面談の申し込みも、ある。しかし、1回会って「終わり」。理由が思い当たらなかった男性は、相談所に尋ねてみた。

「面と向かって話すと、口臭が気になります。断られる一因かもしれないので、歯科で診てもらっては」とカウンセラー。

「それまで口臭を自覚したことはなく、むし歯もなかった。歯医者にも10年以上行っていませんでした」

 という男性が慌てて受診すると、歯科医師から、

「歯周病がかなり進行して歯がぐらついています。何本かは救えないかもしれません」

 と告げられ、がくぜんとした。

●気がついた時は手遅れ

 歯周病は、日本人の中高年の8割以上がかかっているとされる身近な病気だ。歯ではなく、歯を支える歯肉や歯槽骨が細菌に侵され、炎症が起きて破壊される感染症で、進行すれば歯が抜けてしまう。日本人が歯を失う原因は歯周病が最も多い。

 日本歯周病学会と共同で初の公式本『日本人はこうして歯を失っていく』(朝日新聞出版)を6月、出版した日本臨床歯周病学会の二階堂雅彦理事長はこう話す。

「炎症が歯肉にとどまっている初期段階は目立った症状がなく、ジワジワと進行します。歯肉が腫れてくさい膿が出る、歯がぐらつく、といったはっきりした症状が現れる頃にはかなり進行していて、歯を失うことも少なくありません」

 前出の男性も治療でだいぶ良くなったものの、奥歯1本は治せず、泣く泣く抜歯。「30代で入れ歯はイヤ」と悩んだ末に人工歯根を埋め込むインプラント治療を受けた。保険が利かなかったため40万円以上かかり、結婚資金に手をつけざるを得なかった。

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