ウェブの情報はタダ──そんな時代は終わりつつあるのかもしれない。約60のオンラインサロンを抱えるDMM.com新規事業企画室プロデューサーの前山達也さんは言う。

「対価を支払ってでも得たいと思うのは、より上質な情報と、同じマインドを持つ人たちとのコミュニティーです」

 ひとくちにコミュニティーといっても、参加者のニーズは様々だ。

 3月下旬、東京・恵比寿の同社で、元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤さんと慶應義塾大学特任助教の若新雄純(わかしんゆうじゅん)さんのオンラインサロン「奥様・お姉様と学ぶ、堀潤と若新のゆるいニュースラウンジ」のリアルセッション、いわゆるオフ会が開催された。月額1万800円、会員27人(4月7日現在)のこのサロンは「論破禁止」をスローガンに、政治・経済から芸能ニュースまで幅広い話題を女性同士で考える。この日のオフ会は会員なら無料で、最初のテーマは「監視される日常は是か非か?」。東急電鉄が全車両に防犯カメラを設置すると発表したニュースを堀さんが解説した後、若新さんが続けた。

「今日は自分と他人の意見が違うことを楽しむのが目的です。相手の考えを認めて、でも自分の意見もしっかり言ってみてくださいね」

 4~5人ずつのグループに分かれて行ったグループディスカッションは白熱。「戦争中、お互いが監視し合うような社会の空気を思い出した」と語ったのは、堀内礼子さん。なんと77歳! 息子さんに付き添われて参加した。

「自分と違う意見を受け入れられないような年寄りになりたくなくてね。息子にフェイスブックを教えてもらわなきゃ」と笑った。(アエラ編集部)

AERA  2016年4月18日号より抜粋