客の「こういう部屋があったらいいな」という声をもとに全43室を全く違う内装にしたのが東京都墨田区の「HOTELSARA 錦糸町」。学校の教室のイメージの「3年B組」、アイランドキッチンが設置された「セレブキッチン」など、潔いほどのコテコテ感。しかし、部屋に入った瞬間に「その後」の展開をありありとイメージでき、完全に現実を忘れられる。

 家業のラブホテルを継いだ清水康司さん(46)。代表取締役の兄とともに経営している3店舗の一つ、「WATER HOTEL S 国立店」(東京都国立市)に行って、驚いた。このシックさ、この豪華さ、本当にラブホテルですか?!

 ひっそりとしたロビーは、シティーホテルと見まごうよう。部屋のドアを開けると、落ち着いた色調の壁、床がまず目に入る。部屋は150平方メートル。2人で社交ダンスを踊れる。

 洗面台のあるスペースを通ってバスルームに抜けると、そこには泳げるほどの広さのお風呂と、さらにテラスに設置された大人2人が寝そべっても余裕がある露天風呂。「都心なら1部屋1泊20万円くらいしますね」と清水さんがサラリと放った言葉に納得した。(ライター・羽根田真智)

AERA 2016年3月21日号より抜粋