「食物アレルギーの発症予防のために妊娠中および授乳中に母親が食物除去を行うことは推奨されない。偏った食生活をしない」

 菜食主義には、健康法、宗教、動物愛護など多様な背景があり、一概に否定すべきではないだろう。ただ、妊娠中に胎児のアレルギー予防の効果を期待して動物性たんぱく質を除去しても、効果がないばかりか弊害すらありうるというのが、現在の学界の共通認識のようだ。

 逆に妊娠中に特定の食物を積極的に摂取することも、ガイドラインは推奨していない。

「また、母乳には多くの有益性があるものの、アレルギー疾患予防という点に限れば、母乳栄養が混合栄養に比べてすぐれているという十分なエビデンスはありません。基本的な考え方としては、妊娠中は特定の食物を除去すると栄養のバランスが偏るので、バランスのよい食事をすることが求められます」(日本小児アレルギー学会理事長・藤澤隆夫医師)

 ガイドラインはさらに、「離乳食は生後5~6カ月の開始が奨められる」としたうえで、両親・きょうだいにアレルギー患者がいる「ハイリスク児」への低アレルゲン化ミルクの使用については、「医師の指導の下に行う」と規定している。(アエラ編集部)

AERA  2016年3月7日号より抜粋