過去も合わせた女性最高裁判事5人のプロフィルを見てみると、3人が官僚出身で、あとは学者と弁護士出身。裁判官から直接就任した人はいない。最高裁判所によると、14年12月1日現在、裁判官の人数は3782人で、そのうち女性は703人。割合にすると18.6%で、裁判官の約5人に1人は女性の時代なのに、女性の最高裁判事はこれだけ少ない。元民主党の衆院議員で、民法772条による無戸籍児家族の会代表の井戸まさえさんは憤る。

「女性が15人中3人という構成は、人口比に照らしてもおかしい。判決も今を生きる女性たちの苦しみに寄り添っていない。人の選択肢を認めないということは、静かなる加害者です」

 男女共同参画に詳しい上智大学の三浦まり教授(政治学)は、今回の判決では男女の割合に加え、裁判官出身なのか弁護士出身なのかといった前職のプロフィルが「かなり濃厚に反映されていた」と指摘する。

「物事を決めるとき、当事者でなければ気づかない部分がある。フランスには選挙の候補者を男女同数にするパリテ法もあるなど、意思決定の場のジェンダーバランスを考えるのは世の中のトレンドです」

AERA 2015年12月28日―2016年1月4日合併号より抜粋