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安倍政権の問題発言が止まらない。上から目線の「粛々」だけではない。麻生太郎財務相は会見で海外メディアの記者をからかい、世界に恥をさらす。(編集部・野嶋剛)

「粛々」という台詞を、よほど使い慣れていたに違いない。

 福井県の高浜原発の再稼働を認めない福井地裁の仮処分に対し、菅義偉官房長官は14日の記者会見で「粛々と(再稼働を)進めたい」と語った。

 でも「粛々」は、沖縄県の翁長雄志知事から「上から目線」と叱られたばかりではなかったか。「封印」した後も安倍晋三首相は、国会で「粛々」を思わず使った。「やめられない、止まらない」の状態である。

●政権安定して国民対話軽視?

 安倍政権の「会見力」があやしい。使われる言葉がどこかとげとげしく、荒っぽいのだ。政権の支持率は安定し、日経平均株価は一時2万円を突破。統一地方選の前半戦でも勝利した順風満帆な政権運営に気持ちが高ぶっているのだろうか。

 メディア研究者の服部孝章氏は指摘する。

「政治の原点は国民との対話です。しかし、安倍首相を始め、閣僚たちは記者やその背後にいる国民と言葉のキャッチボールができていません。いまだったら何を言っても平気だ、という雰囲気すら感じます」

 問題発言は「粛々」だけではない。麻生太郎財務相は4月3日の会見で、海外メディアの記者を「嘲笑」している。

 問題のやりとりは、香港・フェニックステレビの李ミャオ(※)記者との間で交わされた。手を挙げて、自分の所属を告げると、麻生氏は「あ? フェニックス?」と言って大爆笑。記者や財務省の官僚も一緒になって笑い、その場で問題視する記者はいなかった。

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