家庭は学校に、学校は家庭に。たらい回しにされる性教育。そして少年たちは去勢されていく……?(撮影/今村拓馬)
家庭は学校に、学校は家庭に。たらい回しにされる性教育。そして少年たちは去勢されていく……?(撮影/今村拓馬)

 激戦の一流大学を目指す受験生の多くは、親や塾から「欲望を捨てろ」「おのれに打ち勝て」と叱咤激励され、異性やセックスへの興味を封印して偏差値と格闘している。社会的に避けて通れない道だが、18歳ごろに性欲がピークを迎えると言われる男子の場合、その抑圧努力は女子の数倍も大きいことだろう。そのうえ母親から管理されてしまうのでは、性意識が萎縮してもおかしくない。

 1974年からほぼ6年ごとに中学生、高校生、大学生の性について調査をしている日本性教育協会「青少年の性行動全国調査」によれば、「初めて射精を経験した年齢は」という問いに対して、99年は中学生では52.9%。2011年は36.2%と、射精経験の年齢が遅くなっている。

 小学校高学年から中学生の男子が、母親と一緒に入浴している家庭が少なくないという声も聞く。

 東京・小岩にある町沢メンタルクリニックの町沢静夫院長は、中学生になった息子と母親が一緒にお風呂に入っていると聞かされることがある。

「その多くは、一緒に入って家事を一気に済ませたいという母親側の事情です。しかし、こうやって促されて入る息子側には葛藤が生じている。息子は母親に包み込まれて去勢化され、仲間などと性の話をする機会も少なくなっているので、射精年齢が下がらないのではないかと思います」

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