市内には71カ所の投票所がある。7月21日の投開票日には、すべての投票箱が市香川総合体育館に集められ、午後9時過ぎに開票が始まった。投票箱は一斉に開かれ、投票用紙は開披台にのせられた。市職員らが用紙を集め、6台の投票用紙読み取り分類機にかけた。この機械は平仮名、漢字に関係なく、候補者名を幅広く認識できる。ここで票が消えることは考えにくい。

 次に投票用紙は、枚数を数える計数機にかけられた。市選管側は「衛藤候補の票がゼロになったのは、この計数の段階だった」(選挙課の岡弘哲(ひろのり)課長補佐)とみている。高松市民が疑いの目を向けているのも、この辺の動きだ。

 もし票を誰かが抜き取れば、投票者数と計数結果が合わなくなるが、今度の場合、この差は6票しかない。そうなると有力になるのは、計数機にかける際、他の比例代表候補の票に衛藤氏の票が紛れ込んだという説だ。

 故意か過失かは分からない。故意だとしたら何のためなのか。衛藤氏を落選させるためなのか。それとも、応援する候補の得票を増やすためなのか。高松市民の間で様々な噂(うわさ)が飛び交うが、真相は藪(やぶ)の中だ。

AERA 2013年10月14日号